「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの？」

米山はその小さな目を見開いて、口だって半開きで、凍りついたように動かなくなった。


やがて、ふわっと微笑むと、

「お前でも……嫌われたくないとか思うんだな」

などと失礼なことを言って、笑い声まで漏らした。



「茶化さないでよ。ムカつく」


「お前なぁ、嫌われたくないのか嫌われたいのか、どっちだよ？」

からかうように言って、米山はまた笑う。



でも……。


「嫌いになる訳ねぇだろ」

ボソリ、どうしてだか照れ臭そうに米山は呟いた。



「こんなことぐらいで嫌いになる程度の気持ちだったら、お前を抱いてない」


「えっ？　それはどういう……」


「お前は自暴自棄になってヤケクソで抱かれたかもしんねぇけど、俺の方は、

中途半端な気持ちで抱いてない」


ん？



と言うことは……。

じゃあ米山は……。


もしかして、米山……も？



けれど、米山の本心を聞けた喜びよりも、未だ私の気持ちに気付いていない、米山の恐ろしいほどの鈍感さに腹が立った。