「ねぇ米山くん、どうしてそんなに不細工なの?」
「大丈夫です。米山くんは大丈夫ですか?」

私も負けじと丁寧口調で、もう一度米山に問う。



「ダイジョブです。よく言うだろ? 残り物には――

――訳がある」


「『福がある』でしょ?」

そう言い返して、ぶうと膨れた。



米山はそれが期待通りのツッコミだったのか、ははっと嬉しそうに笑った。



「では問題です。訳あり商品をすっげぇ気に入って、それをお値打ちで手に入れた俺は、幸せでしょうか、不幸でしょうか?」


「また訳のわかんない例え……全然面白くないから」


「面白いだろーが。ちゃんと答えろって。幸せでしょうか、不幸でしょうか?」



ムッとして見上げれば、目を細めた柔らかい笑顔が、こちらに優しい視線を注いでいた。


ああ、この笑顔、本当に癒される。



「幸せだと思います。そして訳あり品は、彼よりもずっとずっと幸せになると思います」


「さぁ……どうだろ? 俺の愛は重いよ?」


「重いのなんか、バッチコイだと思うよ?」


二人、ほぼ同時に吹き出して笑い声を上げた時、自動ドアを潜って、あったかエリアに突入した。



デイケアの通所者さんたちが、そんな私たちを不思議そうに眺めていた。


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