殺めたいほど愛してる。
そのままそうっと、彼の男らしいシャープな輪郭を両手でなぞる。


そうして私は、太い血管が浮き出ている彼の首筋を手の中に納めた。




他の誰かのものになるぐらいならいっそ、


この手で殺めてしまいたい。




キリキリと手に力を込める。



彼はきっと苦しいはずなのに、目を閉じたまま静かにじっとしている。



私の気持ちは、最後の最後まで彼に届かない。




愛してもいない女の嫉妬にまみれた我が儘を、黙って受け入れる彼の優しさが痛かった。


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