殺めたいほど愛してる。




全部、気付いていた。何もかもわかっていた。



三つも年下の彼は、私よりずっとずっと大人で。



彼が立ち上がれば、まるで私は幼女のように見下ろされるんだ。




「最初から私は、あなただけのものじゃない」


そう言って、子どもみたいになりふり構わず泣きじゃくる私を、彼は躊躇うことなくその胸に抱いた。




「うん……」


ポトリと頭の天辺に落とされた彼の小さな頷きは、そこから染み込んで、私の身体中を不思議な心地良さで満たした。


< 12 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop