殺めたいほど愛してる。
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彼は、私の母の仕事仲間の息子だった。
中学時代からバレーボール部に所属。
高校はバレーボールの名門校にスポーツ特待生として入学した。
背の高い彼はミドルブロッカーとして活躍し、県大会2位という惜しくも偉大な成績を残して部活動を引退した。
そうしてようやく受験勉強を開始した訳だけど、部活三昧の生活を送っていた彼は、学問の方はさっぱりで。
当時、大学の教育学部に通っていた私は、母を通して家庭教師を頼まれたのだ。
「スポーツ特待生なんて、スポーツ取ったらただのバカだから」
そう言って自嘲気味に笑う彼を、
どうしてだか愛しいと思った。