夏のお供の複雑な事情
頭の中に、


『バキッ!バキッ!』


という音がこだまします。



「いやだ、買われたくない!

神様、どうか助けてください……!」


最新型くんは気づけば必死に祈っていました。




しかし、そんな祈りも虚しく。




「ちょっと高いけど……

でも、最新型だし、これにしましょうか」


お母さんは、店員さんと購入の手続きを始めてしまいました。


子供たちが飛び跳ねて喜んでいます。


最新型くんは箱詰めされながら、これから待つ地獄の日々を思って絶望に打ちひしがれました。


安売りくんは、売られていく最新型くんの後ろ姿を見送りながら、人間が作った『ドナ・ドナ』という歌を思い出しました。
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