雨の日に、キミと一緒に創るエロ。



  外は曇天。

 薄暗くて肌寒かった。

 今日の朝、テレビで見た天気予報の降水確率は50%。

 傘は持たずにアパートを出た。

 雨の降る確率がフィフティフィフティなら、降らない方に賭けたかったからだ。

 ・・・でも、こんなワタシにそんなツキがあるはずがなかった。

 ポツリポツリ。

 あ、小雨が来やがったと思えば、すぐに本降りになった。

 「あー、もう!!」

 どうせボツなのに、陽の目を浴びる事など決してない原稿を服で守りながら、目に入った裏道にあるレストランの軒下へ走った。

 雨宿りをしながら、ポケットからハンカチを取り出し洋服の濡れた部分を拭いていると、レストランの扉がゆっくり開いた。

 「傘、使いますか??」

 中から、いかにも女子が好きそうな顔面を貼り付けたウエイターらしき男が、ビニール傘を手にしながら出てきた。

 「・・・貸していただけるんですか??」

 「どうぞ」

 男はニッコリと微笑むと、ワタシに傘を手渡した。

 「すみません。 ありがとうございます」

 有難く傘を受け取ると、

 「どういたしまして」

 男は白い歯を見せて素敵スマイルをした後、店内に戻って行った。

 「おぉ・・・。 少女漫画に出てくる性格までもが良いパーフェクトイケメンが実在するとは・・・」

 男が入って行ったドアに向かってポツリと呟くと、拝借した傘を広げ、軒先を出た。

 振り返って看板を確認する。

 『SHIRAKI』

 イタリアンのお店だろうか。
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