あの日の残像を。




えっと、貴男は誰?そう問いかけたけど
彼は答えてくれなかった。


気付いた時には手を引かれて、
私は付いてくしかなかった。


何分か歩いた時、見覚えのある場所へ着いた。
猫ちゃんを追いかけた時に入った草むらだ。


「こ、ここ...?」

「俺は善(zen)。またな、春日」

「ぜ、善...あ、ありがとう!まっまた..!」


その時、風がビューッと吹いた。

わっ 髪をおさえながら善を見ると。

さっきの風でフードが取れたのか
ニッと笑ってる善の顔が街灯で照らされた。


あっ、と発そうとした時には
善は草むらの中へ消えて行った。



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