16の月-過去に戻れたら‥【完結】
「あのさ‥高宮の親父さんが事件を起こしたんだよ。」
「…えっ‥?どんな…?」
自然と眉間に皺が寄る・・
「なんかさ、東堂々ビルってあるじゃん?でっかいの。
あそこに強盗で押し入ってさ、金盗んで逃げようとしたんだって。
ところが、警備のオッサンに捕まってさ。
その警備のオッサンがA組みの吉村の親父だったわけで、
高宮の親父が持ってたナイフで腹を
刺して吉村の親父は意識不明の重体だってさ‥
その後、高宮の親父すぐ捕まったらしいけど」
「高宮さんの親父さんが・・・そんな事を・・・?」
僕の頭の中が真っ白になった‥
中野がコクリと頷く。
「…で…吉村って西山第二中の?」
「そそ、吉村恵子。」
僕と同じ中学の吉村恵子だった。
中学の時はあまり目立たない子だったけれど、
いわゆる高校生デビューというやつで、
高校になってから割合目立った存在になっていた。
「お前、新聞全然見てないんだな。
ここのところその話題で持ち切りだったのに。」
中野が呆れた顔で言う。
「ああ、旅行に行ってたから‥」
「ふーん‥そうか、まあそれなら仕方ない。」
中野は、僕の肩をポンと叩き校舎へと入っていった。
僕の頭の中がフル回転する。
高宮さんの親父さんが犯罪者…?
だから会う約束を守れなかったのか‥
電話も繋がらなかった訳がなんとなくわかった・・。
高宮さんは今一体どうしているのだろう‥
今日は学校に来ているのだろうか。