16の月-過去に戻れたら‥【完結】
思わず高宮さんが心配になって、走って校舎に行こうとするが…
僕の足が止まる。
…‥今、僕が高宮さんに会った所でどうなる‥?
所詮、僕の安っぽい言葉で慰めたところで、
どうにでもなることでもない‥
そう思うと僕の足取りは急に重くなった‥。
生徒の話題はやはり高宮さんの事で所々、
「高宮の親父が…」
「吉村の親父が刺されたんだって」等聞こえてくる。
やっぱり中野の言った事は本当だったんだ‥
少しづつ実感が湧いて来る‥。
A組みの前に差し掛かった時、人だかりの中に吉村さんが見えた。
親父さんがあんな目に遭ったにも関わらずちゃんと
学校に来てるんだな‥
親父さんは大丈夫なのだろうか‥
人事ではあるものの、
やはり身近な同級生がそういう目に遭ったと聞くと胸が痛んだ。
そして僕は、やはり彼女の存在を探す。
高宮さんは…
教室には居なかった。