16の月-過去に戻れたら‥【完結】
「顔を上げなさい」と聞こえ
恐る恐る顔を上げる…
俺の目の前には、
目尻の垂れた優しい目をした
白髪頭のオジサンが座っていた。
もっと、いかつい顔をしたスキンヘッドの人が居るのかと思っていた
俺は少し、拍子抜けする‥
「あ、あの、俺、いや‥僕は水池修吾と言います。」
と言って頭を下げる。
「ああ、知ってるさ。」
と返って来た返事に驚く‥
「手紙にね、君の事をよく書いてくれていたからね。
あの子によくしてくれていたらしいね‥」
と親父さんに言われ、俺は言葉を失う‥
「もっぱら嘘だとは解っていたがね‥
これでもあの子の父親だからそのくらい解るさ‥」
「…あ、あの‥由香里さんはここに‥?」
と言うと親父さんは首を振った。
「あれから1度も会ってないよ。何度も来てくれてはいたけれど、
全て断った。あんな事をして、母親が亡くなった時もあの子1人で‥
私は、あの子に会わせる顔がないんだ。手紙も毎週届くけれど、
返事も1度も返したことはない…」
俺はなんと答えたらいいのか解らない‥
高宮さんは、この2年間、
父親とも会えず本当にたった一人で生きて来たんだ‥
「…そ‥そうなんですか…」
決められた時間の中で、聞きたい事なんて山程あったのに
気の利かない返事を返す…
「時間です。」と刑務官に促され、高宮さんの親父さんは立ち上がった。
高宮さんの親父さんは俺に頭を下げた。
頭を下げたまま…
「君に、お願いがある。」
と言った。
「‥は、はい‥」
「…もうあの子には会わないでやってくれないか‥?」
「……」
「君と一緒にいたら思い出すだろう、昔の事を‥
あの子には全て忘れて人生をやり直してほしいんだ。
君の事も、私の事も全て忘れて‥。」
言葉がやっぱり出て来なかった…
親父さんは、「では‥」と言って部屋から出て行った‥。
恐る恐る顔を上げる…
俺の目の前には、
目尻の垂れた優しい目をした
白髪頭のオジサンが座っていた。
もっと、いかつい顔をしたスキンヘッドの人が居るのかと思っていた
俺は少し、拍子抜けする‥
「あ、あの、俺、いや‥僕は水池修吾と言います。」
と言って頭を下げる。
「ああ、知ってるさ。」
と返って来た返事に驚く‥
「手紙にね、君の事をよく書いてくれていたからね。
あの子によくしてくれていたらしいね‥」
と親父さんに言われ、俺は言葉を失う‥
「もっぱら嘘だとは解っていたがね‥
これでもあの子の父親だからそのくらい解るさ‥」
「…あ、あの‥由香里さんはここに‥?」
と言うと親父さんは首を振った。
「あれから1度も会ってないよ。何度も来てくれてはいたけれど、
全て断った。あんな事をして、母親が亡くなった時もあの子1人で‥
私は、あの子に会わせる顔がないんだ。手紙も毎週届くけれど、
返事も1度も返したことはない…」
俺はなんと答えたらいいのか解らない‥
高宮さんは、この2年間、
父親とも会えず本当にたった一人で生きて来たんだ‥
「…そ‥そうなんですか…」
決められた時間の中で、聞きたい事なんて山程あったのに
気の利かない返事を返す…
「時間です。」と刑務官に促され、高宮さんの親父さんは立ち上がった。
高宮さんの親父さんは俺に頭を下げた。
頭を下げたまま…
「君に、お願いがある。」
と言った。
「‥は、はい‥」
「…もうあの子には会わないでやってくれないか‥?」
「……」
「君と一緒にいたら思い出すだろう、昔の事を‥
あの子には全て忘れて人生をやり直してほしいんだ。
君の事も、私の事も全て忘れて‥。」
言葉がやっぱり出て来なかった…
親父さんは、「では‥」と言って部屋から出て行った‥。