16の月-過去に戻れたら‥【完結】
コンコン---
「…開いてるよ‥」
ベットから声を掛ける。
中野が入って来た。
中野が俺の顔を見て、「ダメだったらしいな」と言った。
「いや、会えたよ。親父さんと。でも‥」
「でも‥なんだ?」
中野がタバコに火を着けようとライターを持つ。
俺は中野からタバコを取り上げ、ゴミ箱に捨てた。
「もう、会わないでくれって頼まれた…」
中野が驚いた顔で俺を見る。
「笑っちゃうよな…
俺が一緒にいると高宮さんは過去に縛られてしまうんだってさ‥」
中野は難しそうな顔で頷いた‥
「…確かに…」
「‥俺、1人で馬鹿みたい‥あんなに必死で高宮さんを追いかけて
それが結果的に苦しめていたとは‥」
中野が俺の肩を叩いた。
「俺…もう‥諦めるよ‥」
俺の言葉を聞き、頷いて部屋から出て行った…