16の月-過去に戻れたら‥【完結】
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俺は、独り
夏の夜空を見上げる。
雲に隠れてほとんど見えない月‥
プシュと虚しく缶ビールの蓋を空ける。
あの時と同じ月なのか‥
16歳の時に見た月はもっと輝いていたはずなのに‥
缶ビールを飲みながら、大人になった自分をあざ笑う。
そうか‥
高宮さん‥
幸せなのか‥
俺が居なくても幸せそうだったな‥
でも、良かったじゃないか‥
本当に良かったじゃないか…
なぁ、俺。もっと喜べよ‥
なぁ…
あれほど幸せになって欲しいと願ったじゃないか。
俺が沢山傷つけてしまったから‥
幸せにしてやることも出来なかったんだから
その分しっかり、幸せになってほしいって
心から思ったじゃないか。
それなのに、なんで俺は泣いているのだろうか‥
この歳になっても泣いているなんて
なんて惨めなんだろうか‥
グシャリと缶ビールを握りつぶした‥。