16の月-過去に戻れたら‥【完結】
勘違い
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一週間後-----------
今日は試合だ。
元町のサッカークラブとの練習試合だ‥
キャプテンが「気合を入れていけ!」とまるで
高校生チームのように熱くなっている。
円陣を組みかけ声を掛けた。
バラバラとグランドへと選手達が入って行く。
スパイクの紐を結び直していると、竹下さんが
俺の肩を叩いた。
「水池、頑張れよ」と。
「はい‥」と返事をし、
去っていく竹下さんを見つめた。
今、俺に触れた手で‥
高宮さんの髪を撫で
血管の見えそうな白い肌に唇を寄せ
抱いているのだろうか‥
子供まで作って、あんなに幸せそうに笑う高宮さんを
俺は今まで見たことがなかった‥。
竹下さんには、過去の事も親父さんの事も全て話したのだろうか‥
例え、話したとしても竹下さんなら全てを受け止めてくれる人だろう‥
やっと、見つけた高宮さんなのに…
もう俺の入る余地はないってか…
俺は、自分が情けなくなって笑えてきた‥。