16の月-過去に戻れたら‥【完結】
「お久しぶりです‥」と由香里が頭を下げると…
「まあ、早く上がりなさい」と母さんが部屋へと促す。
ソファーに俺と親父、そして正面に由香里と母さん‥
俺の家なのに、俺が一番緊張している気がする‥
「‥あ、あのさ‥俺たち‥」と言い掛けると、
母さんは、由香里の顔を両手で挟み…
ボロボロと涙を流した…
「ずっと、ずっと‥心配してたのよ…。
良かった‥本当に良かった…」
母さんは、由香里を抱きしめた。
9年前の母さんの姿が思い浮かんだ。
朝のニュースを見て、不安げに俺を見た母さんに
俺は「大丈夫、もう僕には関係ないから」と言った。
あれは‥
あれは…俺の事を心配したんじゃなかったんだ‥
由香里の事を心配していたのだ…
母さんの深い思いに胸が締め付けられた…
由香里を見ると、由香里も大粒の涙を流していた。
オマケのように居座る親父も男泣きしていた…