16の月-過去に戻れたら‥【完結】
-----------
------




「じゃあ、式の日取りとか決まったら教えてね」

母さんと父さんに見送られながら家を後にした。







車の中で、由香里の手を握る。



車を走らせながら、由香里を見ると
窓の外をずっと眺めていた。



この細い華奢な手で、一人で生きて来たんだ‥

頼れる人もいなくて、どれだけ不安に思ってきたのだろうか‥



所詮、全ての人生を守られて来た俺なんかに

解れと言われたって解るはずもない‥



だけど、これからは…

俺が全てを受け持つから‥


握りしめた手を更に強く握った‥







「残す所は後1つだな‥」

由香里はコクリと頷いた。




それは由香里の親父さんだった‥

あれから、やはり由香里は親父さんとは会っていなくて

手紙の返事も1度も返って来なかったそうだ‥。



恐らく、由香里が会いに行ってもまた同じ結果だろう。




俺達は受付の所に俺の名前だけを書き、由香里の名は伏せた。

こうでもしないと、親父さんは由香里とは会わないだろうから‥




しばらく待っていると、名前を呼ばれる。

不安気な由香里の手を引き、部屋の扉を開けた。







< 201 / 205 >

この作品をシェア

pagetop