16の月-過去に戻れたら‥【完結】


そこには、もう親父さんが座っていた。



俺の顔を見て、後ろの由香里を見た途端に親父さんは腰を上げ
帰ろうとする…




「待って下さい!」と俺は叫んだ‥



親父さんは立ち止まる‥




「すいません‥俺、約束守れませんでした‥」


親父さんが俺の顔を見た。




「俺達、結婚するんです。だから一目だけでも由香里と会って欲しくて‥」


由香里が「お父さん‥」と呟く。



「もう、由香里は過去なんかに囚われていません、
だからもう会ってやって下さい。
これからも、ずっと…」



「親父さんの居場所もちゃんと設けておきます。
だから安心して刑務が終われば僕達のところに来て下さい。」





親父さんは、結局何も話さなかったが、
「うっ‥うっ‥」と嗚咽を漏らし…頷いていた‥。



親父さんの背中が無償に小さく見えた。


由香里は、涙を堪え親父さんの背中を見つめていた‥。





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