16の月-過去に戻れたら‥【完結】
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帰り道、俺はふと思う…
高宮さんを呼び止めてどうしたのだろうと…
そもそも、地元から遠く離れたこんな場所で高宮さんに出会うとは…
しかも苗字まで変えて…
人生をやり直したかったのだろうか。
犯罪者の娘というレッテルを剥がし
普通の女の子としてやり直すつもりだったのだろうか‥
俺と中野の顔を見て、高宮さんはどう思ったのだろうか‥
顔色一つ変えなかった高宮さんだったけれど、
そもそも、話しもしなかったし、目も合わせなかった。
高宮さんは気づいていたのだろうか…
俺はブツブツと独り言を呟いていた‥
下宿先に着くまでに、一応置いてきた里美に電話をする。
「ただいま電源が入っていないため…」
僕は通話終了ボタンを押す。
彼氏をほっておいて、電源を落としているとは…
ため息が出た…