16の月-過去に戻れたら‥【完結】
5分ほど早く来てしまったようだ。

「…中野…、昨日の事覚えてる?」

中野は、フルフルと頭を振った。

「美優ちゃんの事しか覚えてない。」


ハァ‥と溜息を着く。


「なぁ…その…高宮さんの事…覚えてない?」

俺がそう言った瞬間、中野が顔を上げた。


「…え?た…高宮さん…?」

俺はコクリと頷く。


「何?高宮さんがいたの??」


「ああ、そうだ。石野由香里って居ただろ?
あの子は間違いなく…高宮さんだ‥」


中野の顔色が変わった。

「…まじかよ…。」


「うん…苗字は違ったけれど、高宮さんだった、確認もしたし‥」


「おい…まさか…復讐とかして来ないだろうな??」


中野が俺に掴みかかる。


「…するわけないだろ…。高宮さんはそんな子じゃない。
それに‥されたって仕方ないかもしれない。俺、やっぱ酷い事言ったし‥」


「だよなぁ…修吾、お前は酷い奴だったもんなぁ…」
自分の事は棚に上げて俺のせいにだけする中野‥。


「なあ、昨日の合コンで居たって事は…もしかして
同じ大学??」


中野が聞いてくる。

「さあ…解らない。大学生にも見えたけれど、落ち着いてたし‥
社会人かもしれないし‥どうなんだろうな‥」

そうこう言っているうちに、玄関の扉が開き
俺達の担当の小学生のお母さんが、「あらいらっしゃい、先生。」と
迎えてくれた。
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