16の月-過去に戻れたら‥【完結】
「だからさー、修吾君も聞きたい事あれば遠慮なくアタシに言ってよ。
この子引っ張り出すからさぁ。」
そう言って光本さんは、高宮さんの腕をグイグイと引っ張った。
「…ああ、わ、わかった‥でも、違ったし大丈夫だから。
ごめんね石野さん‥」
と俺は手を合わせ謝る。
だけど、高宮さんは俺を見ることはなかった‥
とりあえず、俺も席に着いた。
飲んで飲んでとビールを注がれる。
俺の隣に里美。そして前の席に、光本さんと佐藤さん。
そして今回は俺の斜め前に高宮さんが座っていた。
この前と違って、顔がよく見える‥
「それでさ~、美優はね桜田先生にこう言ったの~」
どうでもいい話が淡々と里美と光本さんと佐藤さんの間で流れる。
俺も「へぇーそうなんだ」と適当に相槌を打っていた。
だけど高宮さんが話題に入り込む事はなく、静かにお酒を飲んでいた。
「あ‥あの‥石野さんもどうぞ‥」
俺はビールを片手に高宮さんのグラスを求める。
高宮さんは、やっと顔を上げたかと思うと、
無表情のまま俺の顔を睨みつけた‥
まるで私に構うなと言わんばかりに。