16の月-過去に戻れたら‥【完結】
「痛い…やめて下さい…離して下さい…」
腕を握りしめたまま、高宮さんの言葉を無視した。
ズンズンと歩く。
高宮さんを引きずるような形で…
10分程歩いただろうか。
腕を離した時には、2人とも息が上がっていた…
「…どうして…なんで‥言い返さないんだ?」
俺は息も切れ切れのまま尋ねる。
「あの人は…光本さんは、吉村さんじゃないんだ!
あの人の言いなりになる必要なんてないだろ!」
【吉村】と名前を出した瞬間に、
高宮さんの表情が固まった…
「…もう君は20歳だろ?いい大人じゃないか。
それなのになんで言い返さない?やり返さない?
あの頃と何も変わってないじゃないか!」
俺は苛立ちをそのままぶつけた‥。
高宮さんは横を向いたまま黙りこんだ…
「…アンタなんかに‥私の事‥解るはずなんかない‥」
そう言って睨みつけた高宮さんの顔は憎悪でいっぱいだった‥。