16の月-過去に戻れたら‥【完結】
俺は家に帰り、一人考えこむ…
忘れていた過去が次々と頭の中に入り込む‥
花火大会の高宮さん
二人で月を見た時の高宮さん
私服姿の高宮さん
動物園で見せた笑顔
お弁当を出してくれた時の笑顔
初めてキスをした時の高宮さんの照れくさそうな顔
図書館で丁寧に数学を教えてくれた高宮さん
廊下でうずくまる高宮さん‥
教室でひたすらイジメに耐える高宮さん…
俺に助けて‥と訴えてきた高宮さん…
石を投げつけられた高宮さん…
大粒の涙を流した高宮さん…
全ての事が昨日の出来事のようにフラッシュバックする…
今…思い出しても…あの頃の俺は最低だった‥
自分だけが可愛いが為に、自分の事だけを考えて生きていた。
とばちりが来るのを避け、ひたすら関係ないと繰り返していた‥
それどころか・・
まるでアイツらと同じように汚い物でも見るかのように
高宮さんを見ていた‥
高宮さんがどんな目に合わされていたって、
俺は見て見ぬふりをしていたんだ‥
そんな腐りきったガキだったんだ俺は‥。
今これだけ高宮さんの事が気になるのは、罪滅ぼしなのだろうか…
「あーーーーーー!!!」とでっかく叫び、頭を掻きむしった‥
どうしようもない過去の自分に腹が立って…
腹が立って…苛立ちを隠しきれなかった。