Pretty Pet
睦月は『彼女』であって決して『身内』じゃないって事を、『情に甘えすぎてはいけない』って事を考えてなかった俺はただの大馬鹿だ。


『彼女』として睦月を見てなかった事を、……今更後悔しても遅いんだろうか？




何日か前、睦月がいきなり髪型を変えてきた。


すげー似合ってるし、前よりもっとずっと可愛くなった。


それを言いに行こうと席を立ちかけたら友達の隆一が睦月に気がついて、「……香川って雰囲気変わったよな」なんてぬかしやがる。


「なんつーか……。髪型とかメイクのせいだけじゃなくて、雰囲気的に変わったっていうか……。前より女の子っぽくなった」




なんだそれ。




睦月はいつも可愛かっただろ。今頃気づいたのかよ。


女の子っぽく？睦月はいつでも女の子らしかったじゃないか。



なんでコイツが今になって……。


「なんかさ、あの目がヤバイよな。うるうるしてて。あれで上目遣いされたら俺マジもたねぇ」

「上気した頬とか反則じゃね？」


隆一だけじゃなくてクラスの他の野郎どもも、何気に睦月の変化には気がついていた。




睦月の変化に気がついていなかったのは、実は俺だけだったんだ。






< 21 / 88 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop