Pretty Pet
「陸斗から連絡くるのってさ、『ノート見せて』とか『購買いくならついでに俺のも』みたいな感じなんだよね。でも、使いっ走りとは違ってその後でちゃんとお礼は言うから……」

「それだけでも信じられないよ!」


憤慨する芽依を宥めつつ、あたしは言葉を繋げた。



「陸斗にとってのあたしは、多分『お母さん』とかそんな感じに近いんじゃないのかなぁ?って最近思うんだよね」


うん。そう。



普通は彼氏彼女だったら甘い時間を過ごしそうなもんだけど、あたし達にはそれが一ヶ月しか続かなかった。


陸斗があたしに飽きたんならフッてくれてもいいやって思ってたけど、陸斗はそうしなかった。


あたしから別れを……とは何回も考えたけど、なんかめんどくさくなって『彼氏がいないよりはいた方がいいや』的なステータスで、今までずるずるの状態が続いている。




「……睦月さ、枯れてる」

「は?」




枯れてる?何が?




「……なんて言うんだろ。恋してる時ってさ、胸がきゅんってなったりドキドキしたり、相手の事を考えたら目が潤んだりとかするじゃない?睦月はさ、今そー言うのってある?」



………陸斗の事を考えて?

きゅんとしたりドキドキしたり目が潤んだり……?



「……ないな。うん、ないない」



でしょ?と芽依は悲しそうに微笑んだ。



「睦月、それでいいの?あたし達まだ高校生なのに、そんな恋愛で辛くないの?もっと潤おうよ!」

「……潤うって……よく分かんないなぁ」



確かに、最初は辛くて何回も「止めて」って陸斗に言ったけど、『バレなきゃ大丈夫』みたいな陸斗に呆れて、それ以降はもう何も言わない事にしたんだ。


だから今は辛いとかは思わない。



ただ馬鹿にしてるだけ。



「それよりさ、学食着いたよ?どれが彼氏?」


その大学の学食は広くてお洒落なカフェテリアで、席も結構あった。


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