マー君(原作)
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都内の駅前に建つ古ぼけた雑居ビルの四階に、ある出版社。
「怪奇出版」
名前の通り、怪奇現象を主に取り入れている出版社であり、今波に乗っている。
オーナーがつけたその変哲な名前は建物にも影響を及ぼしているようで、その佇まいからは人を寄せ付けない恐怖的な何かを感じさせていた。
廃虚とは違うが、人がいなければそう見えてもおかしくない。
そんな出版社の狭いオフィスでは、丸いテーブルを囲んで今「月刊怪奇談話」の編集会議が行われていた。
その丸テーブルは決して大きくないが、それほど人数もいないため、囲むには十分スペースは足りていた。
「で、マー君の新情報は入ったか?」
編集長の三上がぼんやりとテーブルを囲む社員に尋ねた。
皆携帯をいじったり、他社の雑誌を読んだり、菓子をほうばったりと好き勝手し放題だ。
三上は大きく膨らんだ腹を掻きながら、ぼさぼさ頭を横に振った。
「おいおい、誰か答えろよ」
服装も髪も何もかもだらしない編集長は誰からも相手されず、途方に暮れていた。
そこで、携帯をいじっている若い男が顔を上げ、忠告した。
都内の駅前に建つ古ぼけた雑居ビルの四階に、ある出版社。
「怪奇出版」
名前の通り、怪奇現象を主に取り入れている出版社であり、今波に乗っている。
オーナーがつけたその変哲な名前は建物にも影響を及ぼしているようで、その佇まいからは人を寄せ付けない恐怖的な何かを感じさせていた。
廃虚とは違うが、人がいなければそう見えてもおかしくない。
そんな出版社の狭いオフィスでは、丸いテーブルを囲んで今「月刊怪奇談話」の編集会議が行われていた。
その丸テーブルは決して大きくないが、それほど人数もいないため、囲むには十分スペースは足りていた。
「で、マー君の新情報は入ったか?」
編集長の三上がぼんやりとテーブルを囲む社員に尋ねた。
皆携帯をいじったり、他社の雑誌を読んだり、菓子をほうばったりと好き勝手し放題だ。
三上は大きく膨らんだ腹を掻きながら、ぼさぼさ頭を横に振った。
「おいおい、誰か答えろよ」
服装も髪も何もかもだらしない編集長は誰からも相手されず、途方に暮れていた。
そこで、携帯をいじっている若い男が顔を上げ、忠告した。