マー君(原作)
喫茶店の中はやけに空いていた。

天井では一定の間隔を開けてプロペラがゆっくりと回って換気をしてくれている。

それに店の所々に植物の陰が見え隠れしている。

ここオアシスという店では、空気が綺麗なのが売りなそうだが、こうして吸ってみてもあまり変わらない。

息苦しいだけだ。

それはこの女が俺の前にいるからかもしれない。

そんなことを考えながら、理香に目を戻す。

何も知らないこの馬鹿女は無邪気にデザートに噛り付いている。

明るい笑顔に、明るいラフな格好――露出が高いがそう気にならない。

それにしてもこの女は何が楽しくて俺といるのだろう?

そろそろ別な女と会う時間が迫っているというのに、いつまでこの女は俺といるつもりなのだろう。

正直もう消えてほしい。

今はこの女とはいたくない。

それしか頭になかった。
< 133 / 604 >

この作品をシェア

pagetop