マー君(原作)
<3>

マサルはアバター。架空の人間。でも−−。

マサルは僕だ。

僕は本当はマサルみたいに自由に生きたい。でも−−。

修二はコメント一覧から目を離し、大きくため息をついた。

でも僕に選択肢はない。親の言うことは何でも聞かなければいけないのだ。僕はロボットなのだから−−。

マサルのアバターを見ていると、自分が恥ずかしい。高校生になっても何一つ自分で決められないことが、何もかもから逃げ続けていることが。

僕はこんな自分が嫌いだ。

だから、変わりたい。マサルのように。

変わりたい・・・・・・。

好きな格好をして、好きなことをして、友達を作って、そして好きな女の子と遊びたい。

皆が普通にしていることなのに、自分にはできない。

選択肢がないから。

携帯画面の中のマサルはニッコリと微笑んでいる。こいつは皆に好かれ、架空だが友達、家族、彼女もいる。

マサルは自分が望む全てを持っている。

なのに−−。
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