マー君(原作)
MIMOをやっていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。修二は素早く起き上がり、目にも留まらぬスピードでデスクに向かった。

椅子に座り、ペンを握ったと同時に、ドアが静かに開いた。

「あら〜修ちゃん、ちゃんと勉強してるのね。ママ関心関心」

修二は背後から聞こえる母親の声を無視し、デスクの上に開いてある参考書の問題を解くフリを続けた。

「まあ〜そうよね。修ちゃんの将来は今にかかってるんだから。怠けてちゃだめだよね」

母親の顔が修二の横に現れる。茶色い長髪をカールさせ、厚化粧をした顔が−−。まるで不気味な人形を思わせる。

その顔は無理矢理作り笑いをし、濁った目が修二の参考書の進み具合を盗み見ている。

「大学の受験戦争は高校より大変なんだから、今からやっておかないと間に合わないのよ。

ママは修ちゃんが立派な大人になれるように教育しているの。

だから、修ちゃんも頑張ってね」

母親の目が修二の手を捕らえる。そしてそのまま修二がノートに問題を解いていく様子を凝視する。

修二はひたすら平静を保ちながら問題を解いていく。
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