マー君(原作)
だが、その時はそんなことに気づくことができなかった。

きっと今の自分の立場に溺れ、その株を上げようと思っていただけなのかもしれない。

けど、それが後に大きな問題になろうとは気づきもしなかった。

「おいおい、坂子、どうしたんだ、この机? こんな机で勉強できんのか?」

女三人、男一人が坂子と呼ばれた女子を呼んだ。

その坂子が今いじめられている本人である。

そのいじめは今彼女を囲んでいる四人の一人、前田勇気という男子生徒から始まり、今も彼が中心に彼女をいじめている。

「んなわけねーよな、ハハハ、センコーにも見放されてるんだからな、誰も助けてくんないとは、お前もつくづく可哀相な奴だよ」

ガタイのいい勇気は坂子の長い髪を掴み、無理やり顔を上げさせる。

「いっそう……死んだほうが楽なんじゃあねぇの、あぁん?」

それでも坂子は何もい言わない。窓側の席に座る春香は、じっとその様子を睨んでいたが、ふと誰かからか声を掛けられた。

「ハル? どうしたの?」

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