マー君(原作)
……クククク。

春香は画面の中にいる自分に微笑んだ。

あの日以来私の心はこのゲームの中のハルにある。

もう本当の私は「この世界」にはいない。

ハルだけが私であり、それ以外は私ではない。

この世界は私を拒絶し、苦しめる。

そんな世界に用はない。

人間など、所詮仮面を付けなければ生きることのできない弱い生き物。

そして、集団でしか行動できない生き物。

私はよく知っている。

人間がどれだけ弱い生き物か。

けど、私は違う! 弱くない。

強い……。

強い強い強い。

強い!

私は、強い人間! 

クククク、だから、決して負けることはないの。それは私だけが知り、誰も知らない。

愚かな人間、人間、臭い、けがわらしい、醜い、いやらしい生き物。

殺したいぐらいに醜い――人間。

本当の勝者が誰か、そんなこともわからない馬鹿な奴ら。

だから、負けを認めるわけにはいかない。それがあの日誓ったことなのだから――。

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