マー君(原作)
<17>

テープから興奮する息が聞こえてくる。ボイスチェンジで変えられた声が、高揚で高まるのがわかる。

しかし、絶えずヘリウムを吸った時のような高音になったり、豚がなくような低音になったりするため、その変化はよく耳を澄まさないとわからない。

「ここにこのサイトを荒らした人物がいるからだ。

教壇の上にいる奴の仲間だ。僕はそいつに然るべき罰を与えなければならない。

そいつは、この今開いているサイトの掲示板を荒らした――荒師の一人だ。

僕はねぇ、さっきも言ったけど、悪口を言われるのが大―嫌いなんだよ。例え小さいことでもね」

荒師? 桂子はパソコン画面から後ろに集まる生徒、教師達を見回した。

皆、動揺を隠せない様子だ。それもそのはず、その中に教卓に生首を置いた犯人がいるうえ、更にこれからその犯人が新たな犠牲者を出そうとしているのだ。

警戒しないはずがない。それに――。

再びパソコン画面に目を戻す。そこには醜い文字が画面一杯に広がっている。このサイトを荒した人物――荒師。

ネットについて大体の知識はある。荒師とはサイトを荒らすスペシャリストみたいなもの。
< 511 / 604 >

この作品をシェア

pagetop