マー君(原作)
彼は桂子のクラスの生徒だった。彼は体育服を着たままだ。おかっぱ頭を押さえながら、震え上がっている。

そんな彼を避けるように皆離れている。

「僕は、僕は、ただ、ただ、遊びで……」

鳴咽を吐いている。

よほど恐ろしいのだろう、マー君とはそれほどにも恐れられる存在なのか? 桂子は立ち上がって坂井に歩み寄ろうとした。

が、その瞬間背後で何か物音がした。

と、同時にテープから声が流れる。

「さて、僕の正体を見せよう」

そこでテープが止まる。

ゴトンと鈍い音がする。

途端、皆が驚愕する。桂子は何が起きたかわからず、ゆっくり後ろを振り向いた。

そこには――。
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