マー君（原作）
吉沢の額に汗が滲む。洋太達がいる尋問室は空調が効いておらず、サウナ状態だった。立っているだけで汗が吹き出す。

「そして次の段階で大きく動く。戦闘機が学校を破壊する。これはテロリストを排除するという名目だ。

その撃破と同時にこの地下施設も爆発する」

「つまり学校を破壊する音で地下施設の爆発音を掻き消すってことか－－」

洋太は顔をしかめ、俯いている吉沢に先を勧めた。彼は手で額の汗を拭い、サングラスを外した。

その目は鋭い鷹のごとく、何かを睨んでいた。

「学校に爆弾を仕掛けなかった理由は、リスクが高すぎるからだ。

もし何かあったら多くの幼き命が失われ、地下にあるこの施設にも影響を及ぼす。だから－－」

「うっせぇーよ」

「何がだ？」

洋太は顔を上げた吉沢を睨み返し、堂々と告げた。

「何が影響を及ぼすだ。そんなの、言い訳だ！　それが政府の言うことかよ！　現状を見ろよ」

洋太は腕を解き、携帯電話のカバーを開いた。

「地獄だ！　あんたがどんなに言い訳しようが、この状況は変わらないんだよ」

そう言いながら、無駄とわかっていながらまた携帯電話を耳に翳した。
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