マー君(原作)
<19>

「僕の正体を見せよう」

テープからそう声が流れ、ある者が動き出した。桂子は背後に感じる気配に振り向く。そこには信じられない光景が広がっていた。

始め、それが何かわからなかった。教壇の前の机の上に上がっていたノートパソコンの画面から黒い長い手が飛び出していた。

それは机の縁を掴むと一気に体を画面の奥から引きずりだした。

ギギギギィ。

耳に不快な音が響く。桂子はいつの間にか腰を抜かし、ノートパソコンから離れていた。それは教室にいる皆も同じで、あちこちから叫び声が聞こえる。

既に両手が画面から飛び出し、血塗られた白い仮面が見える。それは「アァァアアァア」と気味の悪い声を上げて首を傾げている。

それを見た生徒の何人かは教室から逃げ出そうとした。

が、その前に教壇から声が上がった。桂子は混乱しながらもしっかりとその声の主を探した。そこには--。

「金田、君?」

「やあ、先生。僕を覚えてたんだ、意外だな~」

そこには桂子のクラスの金田が立っていた。どうやら教壇の中に隠れていたようだ。

金田俊、最近不登校が目立つ子だ。だが、成績優秀、友達も多く皆から頼られるリーダー的存在である。

その彼が--。
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