マー君(原作)
ネットウィルス編
ネットウィルス編
(Final編)
<1>


ねぇ、僕はいつからこうなったんだろう。

痛みを感じない。喜びを感じない。悲しみを感じない。

憎しみしか感じない。

きっと、僕は人間じゃあないんだ。もう--。

マー君なんだ。

心も体も。

誰にも愛されない存在なんだ。

だから憎むしかない。それが僕の存在意義。だから、僕は。

だって、仕方ないじゃん。僕はそういうふうに作られた。奴らに。

僕を親友から引きはがし、体をいじくり回した。僕が苦しい、痛いって言っても無視された。僕は本当はマー君なんかになりたくなかった。

友達と別れたくなんてなかった。

だけど--。

友達だと思ってた奴らに、信じていた奴らに見捨てられた。

やっぱり人間自分が1番。他人なんてどうなってもいいと思ってる。

そうでしょ? ネットの世界で僕は知った。

人間の本心を。

人間は皆仮面をつけている。

偽りという仮面を。

皆嘘つきだ。何が友達だ。親友だ。人は簡単に嘘をつく。自分のためなら--。

だから、僕はこの憎悪を人間に向ける。無知で嘘つきな人間に向ける。

仮面を外す勇気のない人間を開放する。みーんな僕みたいになれば、嘘をつく必要もない。

みーんな幸せになる。自分らしくなれる。

だから、僕は--。

僕は--。
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