マー君(原作)
俺は何をしているのだろう?

なんで、あんなことを?

間宮は俺のせいであんなことに。なのに、俺は、俺は……。

この手で、間宮を撃った。

逃げるために。

いや、違う。俺は、違うんだ。俺は逃げないと決めたんだ。恐怖から。マー君から。

間宮から。

間宮を撃ったのは、あいつを救いたかったからだ。

そう、救いたかった。

助けたかった。

なのに、あいつは――。

最後の最後まで俺の手を拒んだ。俺を避け、自分の殻の中に閉じこまって出てこようとしなかった。

俺はただ助けたかっただけなのに。

なのに、なんでこんな、こんな、ことに。

結局最後まであいつに謝れなかった。

だから、今言いたい。

すまない、と。

気付けなかった、と。

ごめんな、と。

恥ずかしいなんて思わないさ。だって、俺達――。

親友だろ?

そうずっと前から、そして今も――。

そう信じたいんだ。

洋太は光の中、消え行く間宮の顔を見つめていた。光の中、二人は見つめあっていた。ただ、見つめあっていた。昔と同じように。あの頃のように。

そう、俺達は何も知らなかったんだ。

何も。

だから、許してくれるよな?

洋太は光に包まれていく、間宮に手を伸ばした。そして、間宮も同じく手を伸ばし――。

次の瞬間、全て光に包まれた。

それでも、洋太にはわかった。

手を握ることができたと。間宮と分かち合えることができたと。

そう思いたかった。
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