マー君(原作)
僕は何を間違えていたのか? なんでこうなってしまった。

こんな所でつまづくなんて。僕は復讐しないといけないんだ。人間に。そのために生まれてきたはずなのに。なんで、なんで邪魔をするんだ。皆。

皆だって望んでいたはずだ。

そうだ。望んでいたんだ。

こんな偽りの世界から抜け出したいと。仮面をつけた嘘だらけの世界に、嫌気を覚え、そして逃げた。僕は救いたかったんだ。

僕と同じようになることで。

みんな僕と同じになれば、嘘なんてつかなくて済む。人を傷つけなくて済む。争わなくて済む。

平和になるんだ。

なのに、あいつは。間宮も、洋太も、良一も、なんでなんだ。

なんで、こんな世界に残ることを望むんだ。

それじゃあ――。

僕は一人じゃあないか。また、一人になるじゃあないか。

間宮さえ、僕と一緒にいることを拒むのか?

あの時言ったじゃあないか。

僕たちは二つで一つと。なのに、なんで、一つにならない。僕は君の中から生まれ、そしてこの白い仮面を手にした。君と一緒に人間に復讐するために。

なのに――。

君は拒んだ。僕と一緒になることを。間宮は僕なのに。それじゃあ僕はただの。

マー君でしかない。

ネット上の殺人鬼でしかない。

なんで、僕は一人なんだ。

間宮。

マー君は光の中、雨、雫、洋太、そして、間宮を見回した。皆光に吸い込まれていく。一人、また一人と。

そして、ついにマー君一人となった。

そして、マー君も光の中に消えていった。
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