マー君(原作)
<30>

「なあ、間宮。今日暇だろ?」

「勝手に決め付けるなよ。僕もいつも暇というわけじゃあ」

「気にすんなって。親友だろ、俺ら」

間宮は洋太に無理やり誘われ、学校裏に来ていた。間宮と洋太の後には良一もいる。

小学生のあの事件が起きる前だった。

間宮が消える事件の――。

「あのさ、間宮も用事あるみたいだし、今日はもう暗いし、それに」

良一が弱気になる。それを無視し、洋太は二人を連れ、学校裏に。

夕暮れ時だった。学校裏に人気はなく、草原をオレンジ色に染めていた。

風が時折、草を揺らし、小波を立てる。そんな中、洋太を先頭に、間宮、良一がついていく。

「お前はいちいちビビリすぎなんだよ。怪談とか信じてよ。俺なんかセンコーの方がコエーよ」

「ハハハ、それ言えてる」

間宮も調子に乗り、笑い声を上げる。二人の勢いに負け、結局良一も折れる。

しばらく三人は学校裏を前に進んだ。左側には夕日を満面に浴びた古びた校舎が寂しそうに立っている。そして、前には――。

学校裏の物置小屋。

この学校の怪談である。

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