マー君(原作)
メール編
メール編
<1>
八月の終わり、蝉の鳴き声も落ち着き、時折涼しい風が木々の葉を揺らす。
ザザザアーと心地よい音が響く。
雲の少ない空はどこか清々しく、緩やかに流れていく。
まだ残暑であったが、それほど苦になるほど暑くはない。
水月雫は小さな公園で携帯電話をいじっていた。
雫の他には誰もいない。
そよ風が公園の端に立つ背の高い一本の木を揺らし、雫がはく黒いスカートを揺らす。
ザザザアーと木々のさざめきが公園を満たす。
滑り台。
ジャングルジム。
砂場。
ベンチ。
他には何もない。
いやこれだけあれば公園としての機能は十分働くだろう。
しかし、それは遊ぶ者がいてこそであり、ここには携帯をいじる少女しかいない。
昼間から公園で時間潰す中学生は、恐らく道行く者には珍しく見えるだろう。
かと言って雫は学校を抜け出した訳でも、不登校でもない。
今日、雫が通う学校で不幸な事件が起きた。
それが原因で生徒は途中で強制的に下校させられたのだ。
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八月の終わり、蝉の鳴き声も落ち着き、時折涼しい風が木々の葉を揺らす。
ザザザアーと心地よい音が響く。
雲の少ない空はどこか清々しく、緩やかに流れていく。
まだ残暑であったが、それほど苦になるほど暑くはない。
水月雫は小さな公園で携帯電話をいじっていた。
雫の他には誰もいない。
そよ風が公園の端に立つ背の高い一本の木を揺らし、雫がはく黒いスカートを揺らす。
ザザザアーと木々のさざめきが公園を満たす。
滑り台。
ジャングルジム。
砂場。
ベンチ。
他には何もない。
いやこれだけあれば公園としての機能は十分働くだろう。
しかし、それは遊ぶ者がいてこそであり、ここには携帯をいじる少女しかいない。
昼間から公園で時間潰す中学生は、恐らく道行く者には珍しく見えるだろう。
かと言って雫は学校を抜け出した訳でも、不登校でもない。
今日、雫が通う学校で不幸な事件が起きた。
それが原因で生徒は途中で強制的に下校させられたのだ。