淡い初恋
「ひがむ訳ないだろ。兄さんとは8つ離れてるけど仲良いし、それに優しくてしっかりしてて、俺より頭も良くてスポーツ万能なんだ。だから、俺は昔から兄を尊敬してたし、そんな兄に憧れてた。」と語り始めた。私は、羨ましくなって思わず「良いね。」と言って微笑んだ。「何が?」と聞かれたので「私、一人っ子だから、兄弟に憧れるの。」と応えた。男兄弟って喧嘩腰になるって聞いたことあるけど龍くん兄弟は仲が良いから素敵だなと思っていると「そっか。でも、ま、俺がいるじゃん。」と誇りながら言ってきたので思わずクスっと笑った。

「なんだよ。」と彼が拗ねたように言ってきた。可愛いなぁ、なんて口が裂けても言えないから「うん、そうだね。龍くんがいるから私、寂しくないよ。ずっと一緒にいようね。」と言った。

「あぁ」と彼が応えると急に私の肩の上に手を置き、彼が自分の方に私を引き寄せた。「え?」驚いて龍くんを見ると、「前見て。」と言われたので私は、前を向いた。するとカメラのレンズが目に飛び込んできた!急に「ハイチーズ!」と言われ、更に引き寄せられると、彼が左手に持っていたカメラでシャッターを切った。

ちょっと!?え!?何、突然!!

彼の方を見上げると「記念写真欲しかったんだよな。」とニカっと可愛い笑顔で言ってきたので私は思わず「早く言ってよ!変な顔しちゃったじゃん!」と彼の肩をポカポカ叩いた。

彼はその手を制すると「希、好きだよ。」とつぶやいた。彼の甘い声に私は動作を止め思考が停止した。龍くんの端正で美しい、真剣な顔が目に入った。私の心臓がドクンと一瞬跳ね上がると「私も龍くんのことがすごくすごく好き!」と言った。すると彼は、私の後頭部を掴み顔を近づけると唇を重ねてきた。いつもよりも激しいキスで思わず「ん・・・。」と吐息が漏れる。

う・・・苦しい、恥ずかしいと思い、躊躇しても彼は私の唇を塞いだまま何度も喰むようにキスをしてきた。

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