淡い初恋
放課後、その学年一可愛い早坂玲奈さんから突然声をかけられた。思わず、ビクッとすると「ごめん、今日用事が出来ちゃって~。本当に一人に押し付けるみたいで悪いんだけど日直掃除お願いしても良い?」と言われた。そういえば今日の日直当番は私と早坂さんだった。用事があるなら仕方ないと思い、私は「大丈夫だよ。」と手を振って応えると極上の笑みで「ありがとう」と言われた。やっぱり可愛いな、スタイル良いし、モデルみたい。私もああいう子だったら幸せな人生歩んでただろうなと不毛な願望を思い描き、すぐ頭を振って払拭させた。

ええい!!自分は自分!とりあえず今は掃除をして教室をピカピカにするべし!!私は、異様な気合を入れると箒を取り出し、掃き始めた。誰もいない静まり返った教室。運動場からサッカー部の練習をしている人達のざわついた声が窓を通して聞こえる位でほとんど静かだった。「これ終わったら図書室行こう!」最近、本を読み始めた。読書は好きではなかったけど千堂くんのような秀才に近づけるように私も知的な部分を取り入れたかった。本を読む人って頭が良いという自分勝手な想像から、それなら自分も出来ると思い、本を読み始めた。

単純な考えだし、あんな秀才には到底追いつけないけど、でも自分が少しでも彼のように頭良くなればもっと私たちの距離が縮まるような気がして、ほんの気休めだけど私は続けようと思った。

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