淡い初恋
二人が同時に私の方を向くと彼は、「希・・・。」とつぶやいた。私の心臓の鼓動が早まるのを感じる。ここで拒絶されたらどうしよう、シカトされたらどうしようという思いで更に緊張感が増した。「なんで、ここに?」と龍くんが聞いてきたので私は平常心を保ちながら「実は友達と会う約束してたのに、ドタキャンされちゃって。一人でぶらぶらしてたの。」と応えた。

私は彼の隣に立っている女性にも軽く挨拶をすると「彼女さんですか?」と笑顔で尋ねた。「え!?」と彼女が反応すると「違う、友達。」となぜか彼が応えた。すると龍くんが「ドタキャンされたなら、一緒に夕飯食べるか?」と聞いてきたので思わず「え?」と驚いた。「え?良いの?」と聞くと私は彼女の方を一瞥して「だって、お友達も一緒なのに・・・」と応えた。

「全然大丈夫ですよ!大勢の方が楽しいし!一緒に食べましょう!」と明るくフレンドリーに彼女が言ってきたので私は嬉しくなり「本当ですか?有難うございます。」と言うと思わず笑みがこぼれた。

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