深層融解self‐tormenting◆番外編◆
季節は桜咲く春から夏へと移行していた。


夏休みに入ると桜空は溜まり場に入り浸るように…って、俺が毎日家の前で待ち構えてここに連れてくるからなんだけれど。


今日も課題を抱えて家の外から飛び出してきた桜空を単車に乗せて溜まり場へと直行した。




昼ごろ、課題を済ませた桜空が珍しく雑誌を捲っている。興味を持ったわけでもないが、何とはなくそれが何の本かを聞いてみた。



「これ?ビーチの特集、だっテ」



ビーチ?海水浴場?なるほど海か。


そういや俺も海でなんて遊んだことねぇな。


「…行きたいか、海に?」



俺がそう言った途端に桜空が明るく笑った。畜生、この笑顔に弱いんだ俺は。頼むから他のヤツの前でその顔見せんな。



「なぁにぃー?二人きりで海に行く相談しちゃってさぁ。俺も混ぜろよ」

だからお前は出てくんな。つーか桜空の前にお前みたいな猥褻顔、よろしくねーんだよ。


「ハルオミも、行く?」


馬鹿、桜空そいつだけは誘うんじゃねぇ!!
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