深層融解self‐tormenting◆番外編◆
「おら着いたぞ」


店の前にクルマを寄せると、鷹嘴サンも同時にクルマから降りてきた。


いや、ここまで来たら後はもういいんだけど。




後ろからついてくる鷹嘴サンを気にも止めず、重たそうな店のドアを押してみたがピクリとも動きゃしねぇ。


中から鍵かけてやがんな。



どうしたもんかと躊躇したのは一瞬で。


煙草に火をつけて口からぶら下げた鷹嘴サンが、徐にそのドアを蹴り破った。



……一撃で。



すげえ。色んな意味で。



つーか不法侵入。いや、それよりこの重たそうなドアを蹴り破るって、脚力どんだけだよ?



それはさておき鷹嘴サンに感謝の一言を述べると、広い店内を走り抜けた。


庵達がいるとしたら、オーナー室かVIPルームかどちらかだろう。



二択だから、最初はとりあえずVIPルームに行ってみた。


ああくそ、走り回って息が切れるじゃねーか。



華音と付き合いだしてから、全くこんなのばっかりだ。でもそれが良いんだけど。




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