深層融解self‐tormenting◆番外編◆
庵にどこまでやられたんだ?
「……大丈夫…か?」
俺が近づくと後ずさる華音。
よほど怖い思いをしたのか、その顔に恐怖の色が浮かぶ。
「もう怖くねぇから。二次会には行かないで帰ろう、な?」
いつものように、頭に手を回して抱き寄せようとした。
刹那、強い力で手が振り払われる。
「……やだ。…蒼季の側には、……行きたくない……」
辛そうに顔を歪めて俺を否定する華音。
……そんなに嫌な事を庵がしたのか?
アイツ、もう2発ぐらい殴っとくんだった。
「言えよ。庵に何をされたのか」
できる限り優しい声で言ったつもりだったのに、華音は俺からまた逃げようとする。
恐怖心から逃げていると言うより、歯をくいしばって頑なに俺を拒んでいる、そんな感じだ。
華音がこんな態度をとるのは二回目だな、と、ぼんやり思い出した。
去年、俺の元カノに引っ掻き回された時にも、こうしてコイツは意固地になって俺を拒否したんだっけか。