深層融解self‐tormenting◆番外編◆
それでもお前は俺んとこに戻ってきたじゃねーかよ。



鷹嘴サンに言われるまでもねぇ。誰がお前の手を離すもんか。



業を煮やして力任せに華音を抱き寄せた。


最初のうちこそ暴れて逃げようとしていた華音も、力尽きたのか最後にはぐたりと俺に凭れかかって、胸を弱々しく叩いている。


呪文のように「……蒼季のばか蒼季の阿呆蒼季の遊び人……」とか、ぶつぶつ呟いているんだけど。




ちょっと待って?


遊び人?誰が?



「華音と付き合うようになってからは誰とも遊んでないけど、俺。……庵になんか吹き込まれたのか?」



確かに庵は高校や大学時代の俺を見てるが、去年になって華音と付き合いだしてからはアイツとはあんまり会ってない。



……もしかして、昔の話でもして華音に余計な不安を抱かせてんのか?




庵あの野郎、やっぱ後でもう2~3発殴ってやる。


華音に俺の過去とかべらべら喋んなっての。




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