オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
激烈父の愛は深し
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夕方。
「……おかえり」
「はっ!? なんでマコ!?」
「えへ。えへへへ」
「ただいま……」とテンションだだ下がりの葉司が帰宅すると、あたしはとりあえず出迎え、ズサッとドアに後ろ向きに貼りつく葉司に、どうしてここにいるかを笑って誤魔化した。
葉司父からの頼みとは、葉司に言づてがある、とのことだったのだけれど、まずは、それまでの経緯を順を追って話さなければなるまい。
「てか、親父は!?」
「帰ったよ」
「帰った!?」
「うん。それも含めて話すから、とりあえず座ってみようか、葉司。いろいろと状況が変わってて、驚いたってもんじゃないとは思うけど、大事な話だから。……座ってほしい」
そう言い、わけが分からない、といった様子でおずおずと床に正座をする葉司に改めて向き直ると、あたしはまず、つい1時間ほど前まで葉司父が着ていた葉司の制服をテーブルの上に置き、ふぅーと静かに息を吐いた。
「……これのこと、葉司のお父さん、知ってたみたい。純平に葉司を助けてほしいって言われて来たんだけど、そのときにはもう、すっかり女子高生になっておられました」