オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
ほかには“オトコの娘"カフェのホームページだとか、一般の娘たちの画像だとか、びっくりすることに商業用にもなっていて、イメージDVDや映画や、歌なんかも販売されている。
また、質問板には「オトコの娘とつき合いたいんですけど、どこに行ったら出会えますか?」なんていう質問まで書き込まれていて、需要の多さに軽くめまいがした。
それも無理はないとあたしは思う。
だって昨日まで“オトコの娘"の存在を知らなかったんだもの、それに、説明を読んでもいまいちピンと来ていないのが本音だ。
カフェがあることも、商業用に需要があることも、オトコの娘とつき合いたい女の子がいることも、あたしにとっては異次元の世界。
ゆえに。
「ごめん葉司、いや愛菜、読んだんだけど、あたしにはやっぱり分かんないかも……」
携帯を返しながら、あたしは言う。
普通の男の子だろうと“オトコの娘"だろうと、葉司であることには変わりはない。
けれど、そういう性癖……というか一面を持っていることを知ったのは昨日で、あたしは夢だと思い込もうとさえしていたのだ。
「だよね……」
「うん、ごめん」
そうだよね……と落ち込む葉司にはすごく申し訳ないけれど、率直な感想だったと思う。