オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
……もー、野宮さんまでなんだっていうんだ。
メルさん同様、あたしを混乱させて楽しもうという魂胆なのだろうか、難しい上に、すごくややこしい言い方をしをってからに。
これじゃあ、いろいろとヒントをもらっても理解できないあたしがバカみたいではないか。
「もう知らん!」
「まあまあ、そうおっしゃらずに、もっとシンプルに考えてみてくださいませ。チョコと恋は紙一重、なのでございますよ」
「またわけの分からんことを……」
でも、そうか。
野宮さんにまた笑われたらシャクだから、絶対に顔に出さないようにするけれど、野宮さん、あたしが聞き逃してしまった突破口を、ちゃんと指し示してくれているのだ。
そのことだけは分かって、なんだかんだで野宮さんも好きだなー、と、あたしは思う。
「はい。このチョコは、あたしから野宮さんへの親愛の証です。メルさんが顔を完成させて戻ってくる前に、さっさと食べちゃって」
「では、遠慮なく」
「はーい」
最後に残っていた、まだラッピングがされていない裸のチョコを手に取り、野宮さんに渡す。
あたしが作ったのだから、1つくらい、あたしの好きにさせてくれてもいいだろう。