オトコの娘。*彼氏、ときどき、女の子!?*
それに、今日はバレンタインデーだ、かこつけるわけではないけれど、野宮さんに感謝の気持ちを伝えるには、チョコが一番手っ取り早い。
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「じゃあ、送ってくださってありがとうございました。運転、気をつけてくださいね」
「ご丁寧にありがとうございます。それでは、私はこれで失礼いたします」
その後。
顔を完成させたメルさんが戻ってくると、出勤の時間が迫っていることもあり、あたしたちは急いでお屋敷を出発し、まずは『ねこみみ。』に向かってメルさんを降ろし、それからあたしの部屋まで送ってもらった。
あたしの中では、野宮さんはとっつきにくいイメージだったのだけれど、思いがけずたくさん話す機会が巡ってきたおかげで、そのイメージは払拭され、ぐっと身近に感じられる。
メルさん同様、いまだにはっきりとした素性は分からない野宮さんだけれど、ひとつ言えることは、人として好きだ、ということだ。
「さて。晩ご飯は何作ろうかねー」
野宮さんの車が見えなくなるまで見送り、あたしはそう言いながら、ぐーっと伸びをする。
今日の呼び出しは、メルさんと野宮さんからのチョコ代わり、といったところだろうか、心がほんのり温かくなり、自然と笑顔がこぼれた。